漢方について

漢方について

漢方治療とは、体質・性格・仕事・生活習慣などすべてを疾患の背景ととらえ、その人が困っている疾患の診断・治療に生かすテーラーメイド治療です。
疾患名に対しての治療が決まる西洋医学的治療とは根本的に異なっています。
また、「漢方」という名称は、日本へ伝来した西洋医学である「蘭方」と区別するためにつけられたもので、中国の伝統的な医学である「中医学」とも異なります。漢方は、中国起源ですが、日本で発展した独自の医学です。


歴史

漢方はその起源をさかのぼると、紀元前1300年以上前の中国にたどり着きます。その後、朝鮮半島を経て、5~6世紀頃、日本へ伝わり、日本の風土・気候や日本人の体質にあわせて独自の発展を遂げ、わが国の伝統医学となりました。
そして、17世紀頃(江戸時代)、特に大きく発展して体系化されます。

しかし、江戸時代に発展した漢方医学も、明治時代に入ると政府により西洋医学主体の医学教育が行なわれ、一旦、漢方医学は衰退の時代に入りましたが、何とか一部の医師・薬剤師などの力により民間レベルで生き続けました。

1910年に和田啓十郎が『医界之鉄椎』を、1927年には湯本求真が『皇漢医学』を出版。これら著述がきっかけとなり、昭和に入って、漢方医学は再び注目を集めるようになり、1967年に漢方エキス製剤が健康保険の適応になり、一般の医療機関で漢方薬が一般的に処方されるようになりました。

漢方と西洋医学の違い

漢方には四診(望・聞・問・切)で患者さんの証を把握して、それに合った漢方薬を処方します。証とは、患者が現時点で表している症状を、気血水・陰陽・虚実・寒熱・表裏・五臓・六病位などの基本概念を通じて認識し、さらに病態の特異性を示す症候を捕らえた結果を総合して得られる診断であり、治療の指示です。西洋医学には存在しません。

西洋医学は、診察・検査(血液検査・X線・超音波・MRなど)を用いて、病体を把握、病名を診断、それに対し病名治療を行ないます。

煎じ薬とエキス剤

漢方薬には、医療用漢方エキス製剤・煎じ薬があります。

煎じ薬は、数種類の一定量の生薬を、グツグツ煮出して作る薬です。手間がかかることや煎じる時の臭い、また生薬の品質などが問題になることなどの短所があります。エキス製剤は、毎日時間をかけて煎じる手間が省けます。また携帯に便利であり、保存もできます。粉末にする過程で精油成分など蒸発しやすい成分が飛んでしまう欠点、また、処方に含まれる複数の生薬のさじ加減ができないという欠点もあります。

現代人のライフスタイルには「漢方エキス製剤」の方が適していると思われるかもしれません。しかし、「効果」という点では煎じ薬の方が勝っているといえます。基本的に、エキス製剤と煎じ薬はともに健康保険が使用できます。


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